新作舞台「ヴィヨンの妻」について |
いつになってもこの問題だけは解決しない・・・。男と女の出会い、深い絆、・・・そして憎悪。 しかし、愛の罪人(つみびと)は簡単ではなく、「若気の至り」もあれば「老いらくの恋」もする・・・。 今回の作品は、太宰治作「ヴィヨンの妻」に大きく影響を受けている。いや、もしかすると、小説の世界そのものかもしれない。ただ、限りなく遠い存在である巨匠に歯が立つわけもなく、我々は、新たな解釈という意識を持つことを、始めから放棄している。 ではなぜ、この小説を選んだのか?それを一言で言うのは難しい。しかし、しいて言えば、戦争直後の特殊な状況の中で、力強く生き抜く人々のバイタリティーに感動したのはもちろん、なによりも、妻“さち”の存在に、現代(いま)を感じたからだ。 中世の詩人“フランソワ=ヴィヨン”のような、亭主“大谷”のもと、妻は従順であった・・・。やがて妻は母になった・・・。そして妻は・・・・・。 時代は、間違いなく次の世代へ変わるもの。それに気付いた時、妻は愛する人に初めて意見した。 「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」 そう、それが昭和に生まれた女の生きざま! 彼女の心の変革を通して、我々は見たい!現代の女としての成功を! 舞台は、中世末期のフランスから始まる。そして時代が変わり、昭和22年の東京小金井、大谷の家に・・・・。事件は受け継がれた。 |
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