予定時間をかなり超えてのインタビューも、とうとう終わりに近づきました。先生も小林君もまだまだ話は尽きないようですが・・・。最終回、どうぞお楽しみください! |
◆
小林 | さっきの話しに戻るンすけど・・・。ライブのように、客とステージが一体になるっていうのは、日本人には難しいっすよね。 | |
神尾 | そんな事はねえよ。 ただし、この作品は究極だからな。スタンディングでもかまわない作品なんだよ。要するにライブホールでやるように作ってるから。芝居小屋でやるもんじゃないだろう?これは。 上手下手の移動にしてもそうだしさ。あんなに上下(かみしも)の移動が少ないのもめずらしいよな。上手にはけたら上手から出て来るなんてさ(笑)。ハッハッハッハッ(大笑い)。 | |
小林 | (つられて)ハッハッハッ(笑)・・・・・。 |
神尾 | もう、なんかハコの都合に合わせてるとしか考えられないよな(笑)。 確かにそうだよな。ライブホール向きに作ったっていうか、オンエアー・イーストに合わせて作ったんだよ。 43人もが出ていながら、キャパシティは500が合ってるんだよな。めずらしい作品だよ(笑)。1000だとすごいキツイかもね。観づらいっていうかさ。 ライブハウスとしてそのまま小屋使っちゃってるから、客向きで芝居してるだろ?要するにお客が一緒になれる瞬間があるんだよ。 あの作品はそういうタイプだってこと。 |
小林 | なるほど。 |
神尾 | 例えば『ロッキーホラーショー』って観たか? |
小林 | ろっきー・・・ほらーしょー・・・?観てないっす・・・。 |
神尾 | なにぃ、勉強不足だぞっ。今度観とけっ! |
小林 | はいっ!すぐ観ますっ! |
神尾 | それでな、小林、『ロッキーホラーショー』の話なんだけどよ。 この作品ははじめロンドンで一週間上演されたんだけど、無茶苦茶評判になったのは、最後の千秋楽くらいだったんだよ。最初はナンだこれはって評判悪かったらしいんだ。ところが後半になって徐々に口コミで広がっていって、最後にはミック・ジャガーも観に来たんだよ。 |
小林 | ローリング・ストーンズ!! |
神尾 | そうなんだよ。 だけど一週間だけやって打ち切りになっちゃって、そのまま闇に葬られてたんだ。ところが半年後に映画化されてな。ま、そういうバカがいたんだな、アメリカなんだけど(笑)。 でもさ、同じ時期作られた映画が『スターウォーズ』だったんだよ。その頃網タイツはいた男のミュージカルが映画化されたって、流行らないっちゅうの(笑)。 |
小林 | 網タイツなんすか?それも男・・・。うちの校長とは比べ物にならないな・・・ぶつぶつ・・・。 | |
神尾 | 当たりめえだよ! だからすっごく評判悪くて、アメリカ中で打ち切りになっちゃって。でもなぜかL.Aでだけ流行ってたんだよ。一ヵ所の小屋だけで。 | |
小林 | ほうー、物好きがいるもんすねえ。 | |
神尾 | それがオールナイトでやってて、特に深夜に客が入ってるわけだ。それで観てる客が何やってたかと言うと・・・。たとえば雨のシーンで傘がなくて、そのかわりに新聞紙を頭にかぶって雨の中をビショビショになりながら走るっていう、ちょっと笑えるシーンがあるんだけど。その時になると、観てる客が一緒になって豆を上に放り投げて、新聞紙をかぶったりとかさ(笑)。一緒にやってるわけだよ。映画館でだよ! イェーッ!!ザザザッザザザッ!ってな(笑)。遊んでるわけだよ。 他にもそういうシーンが何ヶ所かあって、客が一緒になって参加するタイプの映画になっちゃってるんだ。 そういうので流行ってたんだよ。 |
小林 | えーっ、すごいっすねぇ!(身を乗り出して聞いている小林君) |
神尾 | だろ?それがうわさになって流行っちゃって、世界中に広がった。そういうミュージカルがあるんだよ。日本でも上映した時に、前の方の客が何人かやってたらしいよ(笑)。ちょっとさみしいな。はっはっはっ(笑)。 |
小林 | ははは(笑)。 |
神尾 | 出来ない事ないんだよ。 |
小林 | そうっすね!! |
神尾 | で、うちらの話しだけど。ライブホールっていうのは普通はスタンディングでやってるんだから、出来ると思わねえか!徐々にでもそういう形に持っていければね。面白いぞきっと! 全国ツアーとかな。ほとんどコンサートのノリで芝居を観るという(笑)。なあ、小林。 |
小林 | いいっすねぇ!全国ツアー!僕の名前が全国に・・・!!フフフ・・・。 |
神尾 | ブルースはそういう作品だよ。 それに新劇やってる奴らからすると、タブーだらけだしな(笑)。 |
小林 | タブー!なんといい響きだ・・! |
神尾 | とにかくやったことないことやってるんだよ。だから面白かったんじゃねえか。 「変なの・・・でも面白いからいいっか」みたいな(笑)。 |
小林 | ふむふむ。 |
神尾 | 大体そのへんの日本のオリジナルミュージカルってよ、肝心なところはほとんどしゃべってるからね。用もないのに踊ってたりとかな。「そこ踊るとこじゃねえだろ!」みたいなさ(笑)。 |
小林 | ふむふむ。うちとは違う匂いがするぞ。 |
神尾 | そうだよ。うちのダンサーは必要だから踊る。ひとりひとりに役がついてるからな。 別にコーラスラインをやってるわけじゃねえんだよ。みんな必要な役として出てるんだ。お前もな、もうその辺のミュージカル観に行ってもつまんねえんじゃないか。ミュージカルなんだから歌って踊れよ、って文句言いたくなるよ。そんなに芝居するなよ、ってお前が言ってるかも知れねえよ(笑)。 |
小林 | そっすね。ヤジ飛ばすかもしれないっすよ! 先生、「ミュージカルを100倍面白く観る方法」っていう本でも出して、日本人の目を覚まさせましょう! | |
神尾 | 違うな。 | |
小林 | えっ? | |
神尾 | いいか小林!ここは肝心とこだからな!。僕はこれをつくるにあたって、どこの劇団ともつるんでないし、どこのミュージカルの連中にも媚を売ってないんだよ。ハッキリ言って、どこともパイプ持ってないんだよ。持たないでやったんだよ。だから出来たんことが多い。だから本出すんだったら「面白く観る方法」じゃなくって、「どうする?!日本のミュージカル」とかさ、「日本のミュージカルを壊す方法」みたいのだよ(笑)。 |
小林 | おおっ!過激でいいっすねぇ! |
神尾 | 全滅だよ、うちのと比較すると。うちみたいの無いもんな。 こん次の作品にもかかわってるしな。次にやるのは、オーディションの募集広告に出したのは、古き良きミュージカルを愛する人募集。で、自分のコンプレックスを書いてくれってな。 よくわかんないだろ?(笑)。 |
小林 | 古き良き・・・で、コンプレックス・・・・? |
神尾 | 古き良き、いわゆるスタンダードなミュージカルっていうのは、いまだによくやってるだろ? めっちゃくちゃ古い作品やったりしてるじゃん。ああいうのをバカにしようと思ってな(笑)。次のターゲットだ(笑)。 |
小林 | ふうん・・・この次ぎの作品ね・・・(面白くなさそうな小林君)。 でもやっぱブルースが一番っすよ。 |
神尾 | まあまあ、聞けよ。お前らはいいんだよ。「お前どんな気持ち?」とかって聞かれてさ、「そうっすねぇ」。「お前んちどんな家庭?」って聞かれて「うちは母子家庭だと思うんすよ」なんて好きな事言ってさあ、ああそうかって本書いてもらえるんだから(笑)。 次はきっちりとしてるからな。カチッカチッとハコに入れられちゃうんだから。 |
小林 | でも音楽は今回と同じような感じで作るんすか? |
神尾 | 全然違う。もっと古っぽい。作り方は一緒だけどね。 ・・・・・・・ま、こんなとこかな。なんか他に聞く事はないか?・・・・ん?もう終わりかぁ? | |
小林 | えっ?はい、もう終わりっす。 | |
神尾 | ハハハハ(笑)。なんだ小林、物足んねえ奴だな。 | |
小林 | かんべんして下さい。もう十分っすよお。 | |
神尾 | ま、ショービジネスなんだから最後はやっぱりもうかんないとな!もうかるってことはイコール海外で評価されないとな。甘んじてちゃダメなんだよ。 | |
小林 | 小林の名が世界に・・・!がんばりますっ!! 先生、今日はありがとうございましたっ! | |
神尾 | おうっ!やるぞっ! |
◆
ふうっ。ようやく終わりました。なんてったって神尾先生のパワーはすごいっす! さすがの僕も先生の前では子犬のようにおとなしくならざるを得なかったが、ネタはたくさ仕入れたつもりだ! これを読んでくれた人には、先生の次回作もかなり気になると思うので、三月のシアターサンモールには是非足を運んでいただきたい。僕ももちろん新しいネタ探しに行くつもりだ。ブルース組としては当然のことだけど。とにかく僕の新しいネタ探しはまだまだ続けるつもりです。みなさんもHPのチェックは怠りなく! |