写真を見てお解りかとは思いますが、インタビュー中じっと動かずに聞き入る小林君に対し、ポーズ(?)が様々に変わる神尾先生。まるで対照的な二人ですが、話しは白熱し、まだまだインタビューは終わりません!! 続きをどうぞ! |
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神尾 | 新劇や小劇場の人間にわからんとか言われるのは僕からすりゃ、もうめちゃめちゃいい話しだよ。 ストーリーの展開に対して「オレだったらこうはならないな」っていう刺激を与えることが出来れば、それはそれでいいんだよ。実はな、小林。ここだけの話しだけどよ、あっ、これは書くなよ! | |
小林 | え? は、はい・・・。 | |
神尾 | 実はな、小林。今回のテーマの一つに、まず新しい表現を提案して、それを見てみんなで考えようっぜってゆうのもあったんだよ。 | |
小林 | ほほー。 | |
神尾 | 片方に考えが固まる単一思考の怖さってわかるか?よく、新興宗教にハマッたり、戦争起こしちゃったりする奴らとかのアレな!とんでもねーよな。だいたい僕がそういうの嫌いだからさ。そんな奴らはほっといて、ウチらはウチらでぶつかり合おうぜって言ってるんだよ小林! |
小林 | はい。 |
神尾 | はいじゃねーよ小林、お前に解ってたまるか! |
小林 | え? |
神尾 | お前なんかあれじゃねーか。リーダーだろ?新聞委員会の。お前の洗脳ぶりもただモンじゃねーぞ・・・。 |
小林 | ありがとうございます。 |
神尾 | 誉めてんじゃないっつーの小林! |
小林 | はー・・・。あ、でも先生の曲の使い方も、なんてゆうんですかねー。やっぱり洗脳にちかいんじゃないでしょうか? |
神尾 | うるせーばかやろ! 話しがずれちゃったじゃねーか! |
小林 | (自分で・・・) |
神尾 | ナンか言ったか?まあ、だいたい今度の作品が評判良かった事が僕にとっては納得いかないんだけどよ、ホントゆうと。 |
小林 | そうなんですか! |
神尾 | そうだよ! こんなのウケルわけ無かったんだよウチらの時代は。さっきも言ったけどよ、あっ、これは書くなよ! |
小林 | え?は、はい・・・。 |
神尾 | 実はな、小林。今回のテーマの一つに、まず新しい表現を提案して、それを見てみんなで考えようっぜってーのがあったんだよ。 |
小林 | ほほー。 |
神尾 | みんなで考えようっぜって言ったら、みんなで考えようっぜってことなんだよ小林! |
小林 | んー! |
話しが空回りしてまいりました・・・。かなりテンションがあがっているようです。結局先生は、評判良かった事が納得いかないらしいです(何と言うわがままな・・・)。やりたい事をやったんだから、お客とぶつかり合いたい・・・と言う、いつものわけの解らない論法に振り回され続ける小林君であった・・・。ちょっと話しを巻きます・・・。 |
神尾 | 大体さ、五感が正常な、要するに健康な奴のほうが不幸なんだよね。ミュージカルみたいなのは。ものすごい情報量を一気に見せられて、全部まとめて入ってきちゃうから大変なんだよ。否応無しに入ってくるイメージの怖さっていうのかな。セリフじゃないし、動作じゃないし、うちの場合ビジュアルで形で入ってきちゃうからな。 |
小林 | ああ確かに! 特に『アツイゼッBaby!』と『やりてえ!』は他の人達も言ってましたけど、見に来た知り合いがみんな覚えてるって(笑)。 | |
神尾 | なー小林! ざまーみろだよな! 抜けない怖さな(笑)。 | |
小林 | 先生・・・大丈夫ですか?(ちょっと怯えている) | |
神尾 | 僕はね、小林くん。弱者の味方よ。どっちかってゆうと少数派の味方。どこのどなた様が健常者だっつーの。みんな病気だよ! なんか一つや二つどっか壊れてるよ。そんなヤツらだからこそブルースは必要なんだよ。病気結構! 健常者出てこーいってんだ。 |
小林 | 相変わらず挑戦的ですねー。(ほれぼれ) |
神尾 | (小林に)オメーの新劇仲間に何言われたか知らないけど、気にする事ねーよ。そのうち解るって!いいか小林、「じゃあわかった。そんなに気に入らないんならいいよ」って言って、『やさしさを〜♪』って口ずさんでやったらいいんだよ。多分半日ぐらいずーっと流れてるから、そいつの頭ん中でさ(笑)。 |
小林 | いやーそうなんですよ・・・。 |
神尾 | そりゃおめー、一緒に経験しちゃったんだもん。ブルースって作品を。見た客全員同じ経験したんだよ。心がさ、覚えちゃってんだよね、経験として。 |
小林 | 経験ですか。 |
神尾 | そうだよ、お前らもあの世界に生きてたし、お客も一緒に生きてたんだ。そして、日常に戻っても潜在的に生きている。いつになるか解らない・・・だけど必ずいつかその経験が役に立つはずだ。その時また流れるんだよ『やさしさを〜♪』って。いいだろ歌って。メロディーに救われる事もあるんだよ。不思議だよな! |
小林 | (ジーン)いやーいい話しですねー。 |
神尾 | だろ! |
小林 | 僕もさんざん歌には泣かされました・・・。 |
神尾 | ギャフン! |
ここでしばらく小林くんのお説教タイム・・・・。歌についてこっぴどく説教されて立ち直れない小林くん・・・・。 |
小林 | で、では気持ちを入れ替えて参りましょう。そう言えば先生、心配していた150分ノンストップ上演! お客さんからの意見で長かったっていうのが少なかったですね。つまり大成功でしたね! |
神尾 | ケツが痛かったっていう話しはあったけどな(笑)。 でもやがてあれもライブハウスの明かりが点いて、イェー!ってお客が立つようになっちゃえば、関係ねえんだよ(笑)。 あれ、合図だから。『ブルボン』って明かりが点いたらワーッ!!て立ちあがって、消えたら座ると(笑)。 |
小林 | ほぉー。(妙に感心している小林君) |
神尾 | で、小林が出て来たらみんなで罵声を浴びせると(笑)。「小林帰れーっ!」(笑)。 そんで小林が「色々言われてるけどー!・・・・・・・」ってな(笑)。 |
小林 | ああ、いいっすねぇー! |
神尾 | っていう状況になりたいんだよ。そのための仕掛けがしてあるんだよ。そしたら(時間は)あっという間だよ、あんなの。 そういうめずらしい作品だから、お前らは羨ましがられるんじゃないか。ああいう実験的なもので、なお且つ日本で初のダンスと全編音楽新作で、しかもお前ら一人一人の声に合わせて曲が書かれてるなんてさ・・・。一生の内に何人だよ、そういう事出来るのって。役者人口何十万人っているからね。それ考えたら凄いと思うよ。 あの歌はお前のために書かれてるっていうな・・・。えっと・・お前本名ナンだっけ?忘れちゃったよ(笑)。 |
小林 | 小林夢次です! | |
神尾 | そうそう(笑)。小林のために書かれてるっていうのは、お前の友達だったらわかる筈だよ。 | |
小林 | 小林です! | |
神尾 | なー小林! そういう嫉妬心とかはある筈だよ。持ち歌だもんな。やっぱり仲間から観たらそういうのがあるよ。 | |
小林 | (不機嫌そうに)あと、話し違うんですけど、ボクの知り合いで、ダンサーは演技しないで完全にダンスだけ決めててもらったほうが良いっていう意見があったんすけど・・・。 | |
神尾 | 呆れたね。 | |
小林 | え? | |
神尾 | お前そんなやつと口聞いちゃダメだよ! 取りあえず絶交して来い! |
小林 | ええ?! ナンでそうなっちゃうんですか? |
神尾 | いいか小林、それはドラマがわかってねえんだよ。お前はその話し聞いてどう思った?そんなこと言われても、お前が理解できないだろう! まあ、まだ完成されてないってこともあるけどな。ま、ごもっともな意見だね。 だけどあれだけ意味があって踊ってるダンスもめずらしいんだよ。みんな取りあえず、自分に対して理由を持って踊ってるだろ。役を持って踊ってるっていうのはめずらしいんだよ。 逆に言うとそういうものを観るのも、そいつは初めてかもしれないしな。ラインで踊ってるダンサーはいくらでもいるからね。その点うちのダンサーはセンター取ろうとするから(笑)。 |
小林 | そうなんすよ! ずうずうしい! |
神尾 | 怒るな小林。僕はそこに上下関係はつけてないから。役者とダンサーとに、別にそんな扱いの差もつけてないし。だいたいパンフレットの写真のサイズだってキャストと同じだからね(笑)。 |
小林 | いやしかしあの写真の中で一番カッコイイのはやはりボク・・・フフフ。 |
神尾 | (全然聞いてない)どうこうねえんだよ、そんなの。ダンサーだって生徒役として、みんなドラマを持ってるからな。 ただ、みんなに影響してるのがブルースなんだな。で、ブルースに対する反対勢力や派閥を考えると、ブルースを中心とするブルース組があって、小林組、ナイフ組があって、ダンスチームのパワーボムがあってね。 パワーボムはな、第三勢力なんだよ。無抵抗主義者っていうの?必要だろ? ブルースっていうのはいわゆるホワイト系でさ、ナイフはまあ、メキシカンっていうか、南米系の民族でな。それで小林っていうのがアジアの代表(爆笑)。 | |
小林 | アジアの代表っすか! ぼくたちってすごいんだ、やっぱり・・・フフフ。 |
神尾 | それと対する黒人の勢力として、パワーボムなんだよ。 要するに国家色だよ。そのホワイトの中でも主導権を握りたがるのが、校長と教頭っていう存在なんだよ。で、全部を牛耳っているという合衆国の定義で作られてるんだ。それは(観た人に)感じてもらえたと思うよ。 例えば海外公演になったとして、日本語が解らない人に観てもらった時でもハッキリわかるのは、全員ダンスの質が違うって事だよ。音楽の質もね。 ブルース組とナイフ組も違うしな。ナイフは新しいし、ブルースがやってるのはいわゆるロックンロール、ハードロックなんだよ。アメリカでは高級レストランでもロックが流れてるしな。要するにロックっていうのは若者のものっていうんじゃなくて、文化なんだよ。それがブルース組。 で、小林はおもしろいんだ。アイリッシュを踊ってる(笑)。 |
小林 | ボクはアイリッシュなんすか? |
神尾 | ハッハッハッハッ(爆笑)。エセ文化って言いたいんだけどね。 アイリッシュ音楽っていうのはいわゆる民族音楽なんだけど、バックには琴や三味線の音が流れてきてさ(笑)。無国籍、ある種ヘンテコリンな文化なんだよ。ただし、全員で踊ったりしてるっていうのが、集団性を意味してる。それがお前らなんだよ。 |
小林 | そっす! 我々新聞委員会はあ、・・・・。 |
神尾 | (全然聞いてない)だから言葉わかんない人が観ても、ダンスの質とか踊り方とか観るだけで、十分おもしろいんだよ。 太ったプレスリーっていうのも定番だからな、成り金の(笑)。 奥は深いし、そのへんのパロディの要素がわかって観るとまた面白いし。たとえば、ブロードウェイ・ミュージカルをちゃんと観てる人間にとってはなおさら面白い作品なんだよね。 |
小林 | 客で観たいっすねぇ。 |
神尾 | (笑) 本当にいいんだよ、評判。 |
さらにさらに、次回に続きます。お楽しみに....