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ここには、美しい日本語と、香り高いメロディがある。
私たちを感動させる音楽の原点とは、本来こうしたものだったはずだ。

100年前に活躍していた日本の詩人・島崎藤村(1872-1943)は、言葉の力というものについて、こう高らかに宣言している。
「生命は力なり。力は聲なり。聲は言葉なり。新しき言葉はすなはち新しき生涯なり」

作曲家・神尾憲一は、この藤村の志高い詩句に触発されて、クラシカルで格調ある歌の数々を編み出した。
どれも懐かしい匂いのする、憂いを含んだいいメロディばかりだ。
ピアノとヴォーカルだけで、無駄な音は一切使わない。
潔いくらいに、シンプルだ。
女優・源川瑠々子が、みずみずしい果実のような声でそれらの曲を歌うのを聴くと、まるで水底に暗い淵をかかえこんだ、
清らかな河の流れさえ連想されてくる。

これらの曲は、いろんな人に「歌ってください」と語りかけてくるかのようだ。
もちろん、意味なんか全部わからなくともいい。
藤村の詩句を、心の中だけでもいい、メロディにのせて口ずさんでみるのも悪くない。
もしかすると、忘れられかけた日本の言葉の力が、再びあなたの身体の内にも、少しだけ甦ってくるかもしれない。

音楽評論家 林田直樹

音楽劇 アンティーク着物で歌う「菜 時記」
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収録曲一覧
1.秋
6.かもめ  
2.天の河  
7.逃げ水
3.潮音  
8.月光  
4.銀河
9.酔歌
5.昼の夢〜東西南北  
 
LLCL1009
2007.8.29発売
価格¥2.000(本体)+税
歌:源川瑠々子 ピアノ:神尾憲一
詩:島崎藤村 曲:神尾憲一
発売元:ビギナーズ・レーベル